学校法人近畿大学人権宣言および人権教育基本方針

学校法人近畿大学人権宣言

本法人は、創立100周年を経て、半世紀前に掲げた人権尊重の理念を継承しつつ、法人全体で積み重ねてきた同和教育を含むこれまでの人権教育の歩みを深く省察する。あわせて、その理念を未来に向けさらに発展させるため、ここに新たな人権宣言を制定する。

すべての人は、出自、人種、民族、国籍、性別、性的指向、性自認、性表現、障害、年齢、宗教、社会的身分、経済状況、思想・信条その他いかなる事由によっても差別されてはならない。歴史的に深い傷を残してきた部落差別など、社会に根深く刻まれてきたあらゆる差別を相互に関連する課題として捉え、その撤廃に取り組むことは、本法人が果たすべき根源的かつ継続的な責務である。本法人は、差別の現実を直視し、その克服に向けて不断の努力を続ける。

本法人は、真理探究と人間形成の場であるとともに、多様な人々が互いの尊厳を認め合い、学び合い、成長する共同体である。本法人の学園は「実学教育」と「人格の陶冶」を建学の精神とし、「人に愛される人、信頼される人、尊敬される人の育成」を教育の目的に掲げる。あわせて、「学びたい者に学ばせたい」という教育における門戸開放の理念を尊ぶ。また、学問の自由と学園の自律を本法人の生命線と位置づけ、教育研究の誠実性と倫理を堅持する。本法人における教育・研究・社会貢献すべての領域において、人権を根幹に置き、学修及び学習・研究・就労環境を整備し、誰もが安心して自己の可能性を発揮できる場を保障する。ハラスメントの防止と合理的配慮の提供は、学問の自由を実質化する基盤である。表現の自由と学問の自由の尊重を前提に対話を通じた相互理解を重視し、これらを法人文化として定着させる。

さらに、本法人は長年にわたり取り組んできた人権教育の成果を礎に、学生・生徒・児童・園児及び教職員一人ひとりが主体的に学び、考え、行動する力を育む。差別の歴史と構造への理解を深め、社会の不平等や排除の仕組みを批判的に捉え、共生社会の実現に向けて実践する姿勢を涵養する。これらの取り組みを、地域社会及び国際社会との連携の中でさらに発展させ、人権の価値を広く共有することに努める。本法人は、自ら体制と手続を整え、相談・救済の機能を確保するとともに、透明性と説明責任をもって運用を検証し、継続的に改善する。

本法人は、過去の歩みを誇りとしつつも、そこにとどまることなく、未来を担う世代とともに、より公正で包摂的な社会の創造に寄与することを誓う。この宣言は、国内外の人権課題と法人内の実態を踏まえ、必要に応じて改定する。ここに、本法人共同体のすべての構成員が人権の確立と差別のない社会の実現に向けて理念を共有し、行動することを宣言する。

2026年11月5日
学校法人近畿大学

学校法人近畿大学人権教育基本方針

前文
本法人は創立100周年を踏まえ、新たに制定した「学校法人近畿大学人権宣言」の理念を教育・研究・社会貢献のあらゆる領域で具現化するため、ここに人権教育方針を定める。本方針は、長年にわたり取り組んできた同和教育を含む人権教育の蓄積を礎とし、差別のない社会の実現に向けて本法人共同体が主体的に行動するための指針である。また、本法人の学園は、「実学教育」と「人格の陶冶」を建学の精神とし、「人に愛される人、信頼される人、尊敬される人の育成」を教育の目的に掲げ、「学びたい者に学ばせたい」という教育の門戸開放を堅持し、学問の自由と大学の自律を根幹に据え、その実質化のために、人権を基盤とした安全で包摂的な学修・研究・就労環境を整備する。

  1. 歴史的経緯の理解と継承
    部落差別を含む差別の歴史と構造を深く学び、過去の被害と経験を直視する姿勢を育む。これまで本法人が積み重ねてきた同和教育の成果と課題を省察しつつ継承する。あわせて、現代社会における制度・慣行・文化に埋め込まれた差別の実態を批判的に理解する教育を推進する。差別は相互に関連し、複合して現れる課題であることを踏まえ、歴史と現在を架橋する学びを重視する。
  2. 体系的な人権教育の実施
    法人全体の教育活動の中に人権教育を位置づけ、学生・生徒・児童・園児及び教職員が、発達段階に応じて継続的に学べる体系を整備する。人権に関する理解と実践力、ならびに倫理的判断力を涵養するために到達目標を明確化し、教育成果の確認と改善につなげる。
  3. 多様性と包摂の理解促進
    出自、人種、民族、国籍、性別、性的指向、性自認、性表現、障害、年齢、宗教、社会的身分など、多様な背景をもつ人々が尊重される環境をつくるため、インクルーシブ教育を推進する。偏見や無理解に基づく排除を防ぎ、相互の尊厳を保障する学修及び学習・研究・就労環境の形成に努める。
    あわせて、個別の状況に応じた合理的配慮の提供をはじめとする必要な支援と、誰にとっても学びやすい環境を整え、誰もが学びやすい学園を実現する。
  4. ハラスメント防止と安全な学修及び学習・研究・就労環境の確保
    あらゆるハラスメントを許さない姿勢を明確にし、相談体制の強化、適正かつ迅速な対応、再発防止策の徹底を図る。安心して学び、研究し、働ける環境を整えることを法人の責務として位置づける。この環境整備は、学問の自由が実質的に保障されるための基盤である。相談窓口の複線化、調査の独立性、利益相反の回避、ならびに手続的公正を確保する。
  5. 対話と相互理解の促進
    人権課題に関する対話の場を積極的に設け、異なる立場や経験を尊重し合う文化を育む。学生・生徒・児童・園児及び教職員が主体的に参加するワークショップや交流活動を通じて、共感と協働の力を育てる。対話の場は、相互の尊厳を損なわないルールのもとで運営し、学内外の知見も取り入れながら継続的に充実させる。
  6. 地域社会・国際社会との連携強化
    地域の人権団体、自治体、学校、国際機関、海外教育機関などと協働し、人権教育の成果を社会に還元するとともに、相互に学び合う。地域課題の解決や国際的な人権問題への理解を深め、教育・研究と一体となった社会貢献活動を通じて実践的な学びを促進する。
  7. 研究活動における人権尊重
    研究倫理の徹底を通じて、研究参加者の尊厳の保護と個人情報の適切な取り扱いを確保し、人権に配慮した研究活動を推進する。人権に関する学術研究を奨励し、社会に新たな知見を提供する。研究の自律性を尊重しつつ、研究不正・差別・ハラスメント等の権利侵害を許さない体制を整備する。あわせて、正当な研究や発信が不必要に自己抑制されないよう、明確なガイドラインと、相談・救済の仕組みを両立させる。
  8. 継続的な評価と改善
    人権教育の取り組みを定期的に評価し、課題を明確化したうえで改善を図る。学生・生徒・児童・園児及び教職員の声を反映しながら、時代の変化に応じて柔軟に方針を更新する。必要に応じて各種人権研修実施状況等や相談件数の傾向等を個人情報の保護及び守秘に配慮したうえで、可能な範囲で学内外に公表し、改善につなげる。

本方針は、学校法人近畿大学人権宣言の理念に基づき、国内外の人権課題と法人内の実態を踏まえて、必要に応じて改定する。

2026年11月5日
学校法人近畿大学